軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

『究明する会ニュース』190号・要約

なぜ、今、731部隊か

常石 敬一(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・代表)

 最近、731部隊について再度調べている。石井機関の歴史が戦前・戦中・戦後の学界にもたらした「ゆがみ」について考えている。

  • 研究再開
     2011年以降、自分の研究テーマを原発の問題に絞った。
     15年4月に防衛省は「安全保障技術研究推進制度(競争的資金制度)」の公募を始めた。大学などの研究機関の研究費として軍事費をつぎ込むことが解禁された。
     そうした資金は日本の科学研究の質の劣化をもたらす。これは声を上げるべきだと考え、研究の軍事化による汚染阻止に専念することにした。僕の731研究は、軍事研究が学問研究にゆがみをもたらすことを示したつもりだったが、まだまだ不十分だったという自戒がある。
  • 再開の背景、2010年代の日本
     731部隊についての最初の本、『消えた細菌戦部隊』は81年、そして一番最近になって出したのは『戦場の疫学』で05年、どちらも海鳴社が出してくれた。それから10年、改めて僕たちはどんな時代にいるのかを考えた。
     最初に、今なぜ軍事費が投入されるのかを考えた。21世紀に入ってGDP、科学技術費それに軍事費はほぼ横ばい。
     安倍政権になって、公共事業費と軍事費はわずかではあるが増え続けており、科学技術費は目に見えて減っている。軍事費は17年度要求では過去最高の5.1兆円だった。
     もうひとつ12年末の安倍政権成立以降、報道の自由が抑圧されている。各国の報道状況について毎年レポートを出している国際的な団体、フリーダムハウス(本部ワシントンDC)と国境なき記者団(本部パリ)、それぞれの日本についての報道の自由度ランキングの推移は以下の通りだ。
  • 1930年代の日本
     731部隊の正式発足は1936年だが、その司令塔、軍医学校防疫研究室の設立は1932年。それは関東大震災から9年後のことだった。
     大震災以降、政府は思想弾圧を強め、25年には普通選挙法と共に治安維持法を制定した。その影響が出てくるのは30年代で、33年に河上肇の検挙や小林多喜二の検挙・虐殺があった。同じ年、前年に発足した学術振興会の研究費補助制度が始まった。これは日本の科学研究にとって、従来の個人研究中心だった体制を、組織による規模の大きな研究を奨励する転換点だった。
     防疫研究室および731部隊は軍事費で設けられ、規模を拡大して行ったが、その資金は31年創設の満州事件費だった。これは、日中戦争を契機に臨時軍事費特別会計に引き継がれていった。事件費が陸軍予算に占める割合は初年度こそ2割強だったがすぐに5割を超え、陸軍の予算が倍増した。これは当然、財政の悪化をもたらした。安倍政権が財政再建を先送りしながら、軍事費を増額し続けている姿勢と相通じる。
     39年になると、総動員試験研究令が制定され民間の研究者が国家目的の研究に動員されるようになり、研究者を指名し、国から直接の支援を受け他方で研究結果を報告する義務を負った戦時研究員制度が43年に始まった。

(2018年2月22日)

旧満洲第731部隊軍医将校の学位授与の検証を求めます!

旧満洲第731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会

 京都大学が、京都帝国大学時代に医学博士の学位を授与した旧満洲第731部隊軍医将校(以下、同人)の学位論文にねつ造と医の倫理に反する不正な箇所が含まれている疑いがある。
 同人は1945年5月31日付けの学位申請書と主論文「イヌノミのペスト媒介能力ニ就テ」などの学位申請を行い、貴大学は、同年9月26日に学位授与を決定した。
当該学位論文で用いられた実験動物のサルは実はヒトではなかったかとの疑いがある。もしそれが事実であるとすれば、実験報告のねつ造であるに留まらず、実験が極めて非倫理的・非人道的である。

以下、参考資料、註は省略

旧満洲第731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会
住所: 〒604-0931 京都市中京区榎木町95-3 延寿堂南館3階 日本科学者会議京都支部気付
URL:https://war-kyoto-university.jimdo.com/
講演会:研究者が戦争に協力する時 731部隊の生体実験をめぐって

4月14日(土)13時~16時
京都大学百周年時計台記念館2階会議室
講演:常石 敬一

京都新聞の特集記事「帝国の骨」第4部

2018年1月21日
「学問のため」帝国と同化 京大が持ち去った人骨
「研究」の闇、たどり直すべき 連載のおわりに

フィールドワーク「東大と戦争」に参加して

安松 狢

 1月28日、20名が本郷三丁目駅前からわだつみのこえ記念館、寒さのあまり途中3名の脱落者を出したが、戦没学生の碑「天上大風」、工学部の中庭の銅像群、弥生門を抜けて戦没医学生の碑、戻って安田講堂、心字池、総合研究博物館を回る。

わだつみのこえ記念館
真冬の三四郎池(心字池)
リニューアルした総合研究博物館
アンケート結果
省略
わだつみのこえ記念館の書籍 一部扱ってます
2012年企画展 戦没学生たちの軌跡資料集 頒価 500円(残部3冊)
2014年企画展 戦没学生の遺稿に見る「特攻」資料集 頒価 500円(残部4冊)
わだつみのこえ記念館紀要 2015年11月 頒価 800円(残部1冊)
わだつみのこえ記念館紀要 2017年6月 頒価 800円(残部5冊)

※2018年時点での情報です。現在の取り扱い部数はお問い合わせください。(2020.06.11)

戦没者遺骨、歯の元素で識別へ厚労省、新手法で作業進める

共同通信社(2018/02/08)

 太平洋戦争の戦没者遺骨収集を進める厚生労働省は8日、フィリピンで収集した遺骨に現地人の骨が混入していた問題に対処するため、歯や骨に残る元素の比率を解析し、育った環境や地域を識別できる安定同位体比検査を導入する研究費として、来年度予算に500万円を計上すると明らかにした。

旧陸軍軍医学校跡地 フィールドワーク参加報告

山内 拓文(福島県民主医療機関連合会事務局)

  • 概要:福島県民医連医学生合宿

    福島県民医連主催の医学生合宿において、医師が戦争に動員された歴史を学ぶ観点から、旧陸軍軍医学校とその周辺を巡るフィールドワークを企画した。案内は軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会の鳥居靖氏に依頼した。

  • 日時:2018年3月10日(土)10:00~12:30
  • 参加者:5名(医学部学生3名、社会人2名)
  • 報告:省略
  • 参加学生からの感想
    • 陸軍、そして731部隊がしたことに関しては未だ全てが明らかになっていないどころか、それを明らかにしようとしないところが日本の恥…
    • 731部隊について、本やテレビでは見たことがありましたが、実際の建物やその跡を見て、今まで知識だけだったものを視覚を通してより深く知る事で身近なものに…
    • 被害者側の立場からでしか学ぶ機会が少ないので、加害者としての日本を学ぶことができて良かった…
  • 総括:福島県民医連事務局 山内 拓文

     731部隊の戦争犯罪や、それに医師、科学者がどのように動員されていたのか、隠されがちな歴史の事実について、その現場を歩きながら学ぶことができ、参加学生からも大変好評でした。
     こういった学習を、より多くの学生や、若い職員に伝えていけるよう、より活動を強化しなければならないと感じました。

     

    最後に、改めてお礼を申し上げたいと思います。
     戦争の記憶が風化しつつあり、旧日本軍の加害の歴史を否定する動きが強まっている現状において、今回のような学習は大きな意味を持つと思います。人骨問題についても、より多くの人に知ってもらい、真相が解明される日が来ることを願っております。

2018年 お花見ウォーク 人骨問題と慰安婦問題

日時:4月1日(日)12時50分集合 13時出発(17時終了予定)
集合:東京メトロ東西線早稲田駅 3a,3b出口方面地下改札口
資料代:500円(別途、wam入館料 500円)
コース:軍都新宿フィールドワーク⇒女たちの戦争と平和資料館(wam)

2018.3.18

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