軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

『究明する会ニュース』130号・要約

舛添厚労相が人骨の身元調査を約束
5・14、衆議院厚生労働委員会で答弁

川村 一之(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会)

 舛添要一厚生労働大臣は、5月14日の衆院厚生労働委員会で旧陸軍軍医学校跡地で発見された人骨問題で「身元確認につながる努力を今後も続けたい」と答弁。郡和子衆議院議員(民主党)の質問に答えた。

新たな人骨調査、法人化と切り離して国が調査 - 舛添厚労相
 舛添大臣は「人体標本、その土地の所有者は国になっておりますから、独立行政法人とは切り離して国として対応してまいりたい」と答弁、医療センター5号宿舎における人体標本の調査は厚生労働省が実施することを確約した。

財務省は若松住宅退去完了後に調査
 3月13日に納骨施設を視察した谷博之参議院議員(民主党)は、衆議院の質問に先立つ4月10日、参院厚生労働委員会で厚生労働省と財務省に新たな人骨調査について質疑を交わした。
 答弁に立った厚生労働省の外口崇・医政局長は、医療センター5号宿舎に関して、従来の答弁を繰り返した。また、財務省所管の若松住宅について、財務省の藤岡博・理財局次長は「(入居者の)退去完了後に調査を行うことを検討する」と答弁した。同住宅について、今年1月末に廃止手続きが行なわれ、入居者に対して3年後までに退去するよう要請した。

5・14衆議院厚生労働委員会質問の背景

 人骨の会と郡事務所は、4月から協議を重ね、(1)厚生労働省には当事者として身元確認と新たな調査を実施すること、(2)財務省には若松住宅の調査を実施すること、(3)防衛省には「彰古館」所蔵の病理標本の管理状況と目録の提出、で質問と資料要求をすることになった。厚労省には平井論文、大橋論文、衛生学校三十年史などのコピーを大臣に事前に渡した。

(1)に関して  舛添大臣答弁は、第一にこれまでの「由来調査」から「身元調査」に踏み込んだこと、第二に新たな人骨調査は国立国際医療センターの独立行政法人化と切り離して国の責任において行うことが示された。


谷参議院議員の稲美秘書による資料要求で、国際医療センターの宿舎利用状況が明らかに
合同宿舎の廃止後、戸山5号宿舎がなければ他の既存の宿舎では戸数が足りなくなる

(2)に関して
 特に進展なし。質問も割愛。

(3)に関して
 自衛隊衛生学校には三十年史に記載のある標本六十一個より十個多い七十一個が保管されているが、質問できなかった。

 5月15日になって資料要求していた衛生学校「彰古館」の目録提出。衛生学校三十年史に記載がある病理標本などが欠落しているので、再度すべての所蔵品の目録を提出するよう要求していく必要がある。

軍陣医学に関する病理標本について

  1. 「野戦ニ於ケル軍陣病理作業ニ就テ」 『軍医団雑誌』第三○三号 昭和13年8月 (1)内容
  2. 第三十一回日本病理学会総会  1941(昭和16)年4月 (2)内容
  3. 軍陣病理『大東亜戦争陸軍衛生史〈巻6〉』 (3)内容
  4. 陸上自衛隊衛生学校「彰古館のあゆみ」 (4)内容

<人骨発見19周年集会への取組み>
ドイツ補償基金と薬害肝炎、ハンセン病のパネリスト決まる

―救済か、補償か?「国の責任の取り方」を問う―

川村 一之(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会)

神美 知宏(こうみ ちひろ)さん
 7月の人骨発見19周年集会に向けて。3月初めに「国の責任の取り方」をテーマにした企画書(案)を作成、3月~4月、ドイツ強制労働補償基金と薬害肝炎、そしてハンセン病問題の関係者にパネリストの依頼。ドイツの報告はナチ犯罪の戦後補償に詳しい拓殖大学の佐藤健生教授、薬害肝炎問題は東京訴訟東京原告団世話人の浅倉美津子さん、泉祐子さんの二人、ハンセン病問題では全国ハンセン病療養所入所者協議会事務局長の神美知宏(こう・みちひろ)さんに決定。4月3日、国立ハンセン病資料館に出向き、神さんとお会いする。国立ハンセン病資料館は多磨全生園(たまぜんしょうえん)の広大な敷地内にあり、以前は入所者が敷地内で自給自足をしていた。現在は開放され訪問したときは桜が満開、近所の子どもづれでにぎわっていた。

新聞記事
毎日新聞:ナチス「負の遺産」完済 強制労働の被害者に補償金《2007年6月12日(火)》
東京新聞:薬害肝炎、東京も和解 原告21人恒久対策実現訴え《2008年2月29日(火)》
朝日新聞:療養所・保育園 梅林が結ぶ縁 東村山の多摩全生園《2008年4月10日(火)》
毎日新聞:ハンセン病 地域に療養所解放 連休明け議員立法提出《2008年4月25日(火)》

<緊急署名>
ハンセン病問題基本法を制定し、開かれた国立ハンセン病療養所の未来を求める国会請願署名
ウィルス性肝炎患者の全面救済と薬害根絶を求める要請書

2008年人骨の会恒例フィールドワーク
「お花見ウォーク」随行記

安松 狢

 3月30日(日)、参加者12名。高田馬場から戸山公園早稲田地区、諏訪神社の明治天皇射的砲術天覧所址、近衛騎兵連隊址が残る学習院女子大学、陸軍軍医学校があった戸山運動公園、箱根山地区の陸軍戸山学校址へと進む。将校会議室址で記念写真。案内人として根岸恵子さんがデビュー。最後は、新宿区障害者センターでパネルを使いながら元新宿区議の川村さんが人骨問題について解説。

お花見ウォークアンケート
内容省略

厚生労働省交渉経過報告(2)

本文内容省略

旧陸軍軍医学校跡地の人骨問題に関する質問と要望

  1. 厚生労働省で保管する人骨の取り扱いについての質問
  2. 石井十世元看護婦証言の人体標本等の調査に関しての質問
  3. 旧陸軍軍医学校および国立東京第一病院所蔵の標本、図書、業務資料等の調査の状況についての質問
  4. 人骨問題についての要望

人骨発見19周年集会 国に問われる責任
~つぐないか、救いか~

日時:7月21日(月・祝)午後1時30分~午後4時30分
場所:新宿歴史博物館講堂
資料代:1000円

  • パネリスト:
    1. ドイツ強制労働補償基金・佐藤 健生
    2. 薬害肝炎訴訟・浅倉 美津子、泉 祐子
    3. ハンセン病問題基本法・神美 知宏
    4. 人骨問題の真相究明・川村 一之
  • ファシリテータ:
    • 常石敬一

2008.5.25

定期購読者募集のご案内

年間4~6回発行している『究明する会ニュース』の定期購読をお願いしています。お申し込み詳細は【定期購読者募集】のページをご覧ください。
inserted by FC2 system