第013回国会 外務委員会 第17号
昭和二十七年四月二日(水曜日)
    午前十一時二十九分開議
 出席委員
   委員長 仲内 憲治君
   理事 佐々木盛雄君 理事 戸叶 里子君
      植原悦二郎君    小川原政信君
      大村 清一君    菊池 義郎君
      栗山長次郎君    飛嶋  繁君
      福田 篤泰君    山本 利壽君
      林  百郎君    黒田 寿男君
 出席国務大臣
       国 務 大 臣  大橋 武夫君
 出席政府委員
       検     事
       (特別審査局次
       長)       吉橋 敏雄君
       外務事務官
       (大臣官房長)  大江  晃君
       外務事務官
       (条約局長)   西村 熊雄君
 委員外の出席者
       專  門  員  佐藤 敏人君
       專  門  員  村瀬 忠夫君

……

林(百)委員 私はこの前岡崎国務大臣に質問いたしました、今朝鮮の戰線で問題になつております細菌戰の問題につきまして、日本人がこれに関興しているということが国際的に報道されておりますので、この点について政府から明確な答弁を求めたいと思うのであります。大体細菌戰につきましては旧日本の関東電が元祖であつて、これが昭和十年、十一年に天皇の秘密軍令のもとにハルビン付近で第七三一部隊、部隊長は石井四郎中将、それから第一〇〇部隊、これは新京附近でありますが、部隊長は若松、後に少将になつた人であります。そして第七三一部隊の方では人間に、第一〇〇部隊の方では家畜に対する攻撃を準備しておつて、しかもこの実験のために毎年六百人が犠牲にされた、五年間に大体三千人の生体実験が行われたということは、これはソ連の細菌戦に対する公判の過程並びに日本の雑誌においてすら、すでに公知の事実として発表されているところであります。しかもこの日本の関東軍のつくりました細菌戦の細菌は、昭和十五年には上海の南方にこれが散布されまして、井戸や野菜、家畜、植物を細菌で汚染させて、病気が流行した。さらに昭和十七年にソ満国境のデルブル川に細菌を流して、それが本流のソ連領のアルグン川に流れ込んだということが、やはり同公判で明確にされておるのであります。そうしてこのペスト菌、コレラ菌は陶器でつくつた爆弾に入れて、この陶器の爆弾が発射されということが明らかになつているのであります。これは旧関東軍の当時の実験でありますが、最近朝鮮で行われました細菌戦によりますと、これが、はえ、蚊、のみ、だに、あるいはくもなどに、ペスト、コレラ菌がつけられたまま砲弾の中に入れられて発射されている。二月二十七日の朝鮮の新聞並びに中国人民日報の特派員の現地報告によりますと、筒が二つに割れて、中からはえや、のみや、くもや、ちようちようなどの昆虫が出て来た、これらの中に明ちかにペスト菌、コレラ菌があるために、至急火焔放射器でこれを燒き払う処置をとつたという記事が出て、目下国際連合でも問題になつているのであります。そこでわれわれはこれを他国のこととして傍観できないことは、今年の二月二十一日の朝鮮民主主義人民共和国の外相の朴憲永氏の声明によりますと、このアメリカ軍が目下使つている細菌に対して、日本のかつての旧関東軍の細菌戦の指導者である戦犯の石井四郎、若松有次郎、北野マサゾウ、この三名が関係しておるということが声明されておるのでありまして、この三名につきましては、すでに一九五〇年の二月一日にソ連から引渡しを要求されたのでありますが、日本政府はこれの引渡しを放置しておるのであります。これは明らかに戦争犯罪人であり、日本の降伏文書によりましても、これは要求されておる当事国に引渡さなければならない義務を日本側が負つている戰犯人でありましてこの名前が朝鮮民主主義人民共和国外相の朴憲永氏からすでに指摘されている際、われわれはこの三名に対してあくまで責任を追究する必要があるし、また日本政府がこれに対していかなる処置をとつているかということを究明したいと思うのであります。そこでまずその方面の、この三名の処置に対する責任のある政府の責任者から、この五名が終戦後どのような行動をとり、その後いかなる行動をとつているかということを詳細に報告してもらいたいと思うのであります。
吉橋政府委員 ただいまの五名の終戦後の動向について申し上げます。石井四郎元陸軍中将は昭和十七年七月以降旧関東軍防疫部長として勤務しておりましたが、終戦後昭和二十年十二月一日復員いたしまして、爾来東京都新宿区若松町七十七番地に居住いたしておりまして、同地に、おいて同人は博愛医院という医院を開業しており、また同人の妻は同じく同所で旅館若松荘というのを経営いたしておりましたが、その後いずれも業務不振のため、昨年両者ともこの営業を廃業いたしまして現在石井本人は医学に関する執筆をいたしておりまして、特異の動向はありません。なお本へは本年三月二十四日付で公職追放を解除せられておりますし、また戦犯の指定を受けたことはありません。
 次の北野正次元陸軍中将は、昭和十六年十月以降関東軍防疫給水部に所属しておりましたが、終戰後昭和二十一年三月三十一日に復員いたしまして、爾来東京都世田谷区代田一の六五二の五に居住いたしておりまして、今日に至つております。その間豊島区駒込六丁目八百二十二番地所在の中村滝という製楽株式会社の公衆衛生研究所に勤務いたしておりまして、現在も引続き研究に従事しております。なお同人は本年二月二十五日付で公職追放解除になつておりまして、また戦犯の指定は受けておりません。
 最後の若松有次郎元陸軍獣医少将は、昭和十七年七月以降関東軍軍馬防疫廠長として勤務しておりましたが、終戦後の昭和二十五年十二月三十日復員いたしまして、静岡県庵原郡袖師町横須那二千二百十八番地に居住いたしておりまして、爾来居住地袖師町にあります東亜燃料工場というものの中で日本医楽会社工場長として製楽に従事しております。なお本人は本年三月十九日付で公職追放解除になりました。なお本人も戦犯の指定は受けていないのであります。
林(百)委員 そうすると政府は一九五〇年二月一日、細菌の戰犯人としてソ連からこの五名の引渡しの要求を受けた事実は知つているのですか。
吉橋政府委員 一応新聞報道等では関知しております。
林(百)委員 それを司令部の方へ確かめる義務を果したのですか。
吉橋政府委員 先ほども申しましたように、連合国最高司令官の戦犯指定は受けておりませんので、今お尋ねの件についての詳細な調査は、われわれではいたしておりません。
林百委員 共産党には辣腕を振うあなたが、ポツダム宣言によつて最も厳格な追放と、そうした勢力の一掃を国際的に義務づけられている旧軍閥の勢力に対する取締りが、実に寛大きわまるものであるという点について、私は驚き、かつ怒りを感ずるのであります。ということは一九四七年六月十九日の極東委員会の降伏後の対日基本政策によりますと、戦争犯罪人についてはこういう規定があるのであります。「連合国の捕虜又は他の国民を虐待した者を含む一切の戦争犯罪人に対しては厳重な処罰が加えられなければならない。最高司令官又は連合国の適当な機関によつて戰争犯罪人として告発された者は、逮捕され、裁判され、且つ有罪の判決があつた場合には処罰されなければならない。他の連合国によつてその国の国民に対する犯罪を理由として要求された者は、最高司令官が裁判のためか、証人としてか又は他の理由で要求することのない場合には、右他の連合国に引き渡され、且つ、拘禁されなけれならない。」従つて連合国の一国によつて戦争犯罪人の指名された者は、連合国最高司令官の名において要求されなくとも、連合国に引渡され、かつ拘禁されなければならないということは、極東委員会の決定によつて明確なのであります。ところが一九五〇年二月一日に、ソ連からこの三省の引渡しの要求があつたということを新聞で承知しておりながら、これに対して何らの処置をとらないというその職務怠慢、その無責任に対しては、どういう責任をあなたはとるおつもりでありますか。
吉橋政府委員 戦犯の要求あるいは戦犯の指定、あるいはそれに関連する調査につきましては、われわれの当局においては、所管事務になつておりません。
林(百)委員 その所管事務は、それではだれがやるのです。
吉橋政府委員 その点はよく了解しておりません。
林(百)委員 了解もしないでおいて自分の所管でないということは、答弁にならない。それからもう一つ、そうするとあなたの特審局の方は共産党を弾圧するためにだけあつて、戦犯やいろいろな方の取締りは全然抜きですか。私はちよつと極東委員会の決定を見てみますと、秘密警察はもうこれは復活してはならないということが、警察一般関係の指令として出ているのであります。治安維持法を廃止しろ、思想犯保護規定は廃止しろ、それから秘密警察は一切廃止しなければならないということが厳重に規定されているのであります。しかも一方ポツダム宣言については、戦争犯罪人に対しては厳重なる処罰を加えらるべしということが書いてあります。ところが特審局の吉橋次長の答弁によりますと、このポツダム宣言によつて厳重に命令されている方の戦犯の方のことについては知らぬ存ぜぬ、共産党に対しては言語に絶する弾圧をするということは、あなた自身が大きなポツダム宣言違反であり、あなた自身が国際的な大きな犯罪を犯していることになるのではないか、そうでないならば、ソ連側から犯罪人として要求されたことを新聞で見ているあなたが、これを何ら司令部と交渉を持たない、またソ連側の代表部と交渉を持たないということは、これは明らかに極東委員会の諸決定あるいはポツダム宣言に命ぜられているところの敗戦国としての日本の義務を私は果さないことになると思います。その点についてもう一度あなたの責任のある答弁をお聞きしたいと思うのであります。
吉橋政府委員 特審局の所管事務の内容は、林委員も十分熟知しておられる通りでありまして、団体等規正令と現在は追放令であります。われわれがこれら五名を含む軍人の動向を調査するというのは、従来これらの五名が追放指定になつておりましたので、追放者の動向監察という面において、これはわれわれとしては十分に調査し監査を続けているわけであります。先ほどから特に共産党に弾圧を加えるとか、いろいろ言つておられますが、われわれといたしましては、いわゆる左右のいかんを問わず、公正に法規の運営をいたしておるのであります。
林(百)委員 そうすると、石井四郎が今著述に従事しておるといいますが、どういう著述ですか、その内容についてひとつ説明を願いたい。
吉橋政府委員 先ほど申し上げましたように、医学に関する研究であります。
林(百)委員 医学についてのどういう研究です。どういうテーマでどういうことが書いてあるのか。あなたは「平和のこえ」だとか何だとか、反戦の出版物については実に詳しいはずですが、こういうものもお読みになつておると思いますが……
吉橋政府委員 内容を一々私は詳しく読んでおりません。
林(百)委員 そういう無責任で、どうして戦犯あるいは少くとも右翼方面の取締りに任じておる特審局が、監視、監督の任務を果したことになるのでありますか。少くともソ連から戦争犯罪人として指名されている者そのものが、著述業に従事しておれば、その著述にはこれこれこういうことが書いあてる、その後の動向についてはやはりソ連側に引渡さなければならぬような動向があるのかないのか、あるいは依然として細菌の問題について関心を持つているかいないかということが、どうしてあなた国会で報告できないのです。
吉橋政府委員 内容につきましては、先ほど申し上げておりますように、医学に関するものでありまして、なおそれが特に追放令の違反になるような内容はないというふうに部下から報告を受けております。
林(百)委員 ですからその医学といつたつて、細菌だつて医学なんですからね。最も重要な関係があるわけなんですよ。しかも朝鮮民主主義人民共和国の朴憲永民に言わせれば、これが依然として細菌戦に協力しておるといわれ、しかもその者がその後医学に関する著述をしておるというならば、その著述がどういう名前の本で、どういう内容かということをここで明らかにしなかつたならば、あるいはあなたは間接にこれらの連中が細菌戦に協力しておることを保護することになるのじやないですか。それからもう一つ、団体等規正令によりますと、軍国主義的、極端な国家主義的、暴力主義的、反民主主義的な団体の結成、指導あるいは個人の行為を禁止するとある。ところがこの関東軍にいて、細菌戦のために三千人もの人間を犠牲にした、こういうような人こそが最も軍国主義的で、最も極端な国家主義的な犯罪人だと思うのですよ。これが戦犯に正式に指名されたかどうかもわからない、新聞で見ただけで、その後の動向については本を書いているらしいけれども、どんな本だか、医学ということだけでよくわからない。これでどうして団体等規正令の実行を監視するということができるか。そういう面からいつても特審局次長としてのあなたの職務を果していないことになるじやないか。もしそうでないと言うならば、もう一度聞きますが、一体石井四郎の書いておる本は、何年にどういうことを書いて、どういう内容であるか。また北野正次にしましても、これも株式会社において衛生のことを研究していると言いますが、一体株式会社でどういう衛生のことを研究しているのか、衛生の研究ということは――だれも細菌の研究をしているとは言いません。細菌を防ぐという名目のもとで、あるいは防疫ということの名のもとに、細菌戦を研究している。さつきあなたの言つたのでもそうでしよう。これらの諸君が関東軍で持つておつた職務は、防疫、要するに疫病を防ぐという名目のもとに、実際は細菌戦を研究していた。細菌を陶器製の筒の中へ入れて発射する研究をしていたのでしよう。そうすれば北野正次にしても、公衆衛生を研究していると言いながら、実際は細菌と関係ある研究をしているのか、いないのか。それから若松にしてもそうです。日本医楽会社の工場長をしているというが、この医楽会社というものは、一体何をつくつている会社ですか、それをもう少し詳しく報告してください。
吉橋政府委員 それらの点につきましては、詳しい資料を持つて來ておりませんから、調査の上、御必要であれば御報告いたします。
林(百)委員 特審局次長はあなたの本來の職務である軍国主義、あるいはかつての戦争犯罪人に対しては、まつたく寛容きわまるものである。もうほとんど関心がない。あなたの関心があるのは、ただ共産主義者と、それから平和主義者の弾圧だけが、あなたの頭にあるということがきようではつきりした。あなたがほんとうに日本の民主主義のことを考えているならば、少くとも戦争犯罪人として、連合国の一国から引渡しの要求を受けている者が、今どういう仕事をしているかということを、国会で堂々と説明できなかつたら、口でどんなことをあなたが言おうとしたつて、あなたの本性はまつたくかつての特高警察の親玉になりかわつていることは否定できないと思う。こういうことだから、国際的には日本がこの戦争犯罪人どもを直接、間接に保護してやつて、これが直接、間接に朝鮮の細菌戦に関連を持つていると言われても、一言の弁明の余地がないと私は言わざるを得ないと思うのであります。もうこれ以上いくら聞いても、次長は答えることができないというそうですから、私は次会までに資料として、石井四郎、北野正次、若松有次郎が現在どういう仕事をしておつて、どういう著述を書いているかという資料一切を、当委員会に提出してもらうことを、委員長を通じてお願いして、私の質問を終りたいと思います。
仲内委員長 佐々木盛雄君。
佐々木(盛)委員 私は講和條約の効力発生後における日本とソ連との外交上の問題について、簡単に二、三点だけ承つておきたいと思います。主として條約局長から御答弁を願いたいと思いますが、本日は主として事務的なこと、あるいは国際法上のことに関連して承りたいのでありますから、そのおつもりで御答弁願いたいと思います。
 そこでまず講和條約の効力発生と同時に、必然的に極東委員会というものは解消するものであると考えるわけでありますが、これは一体どうなるのか。同時にまたいわゆる総司令部の解消に伴つて、対日理事会というものもこれは当然解消になると考えますが、そういう場合における――先日も一部の新聞にも報道されておつたのでありますが、日本にあるソ連の代表部というものの法的な根拠というものは、どういうふうになつているかという点について、ひとつ明確に政府の所見を伺いたいと思います。
西村(熊)政府委員 御質問の点につきまして、簡単に御答弁申し上げます対日平和條約の峰力の発生と同時に、連合国による日本の占領管理というものは終止いたすものと考えております。従いましてそれに伴つて、当然極東委員会、対日理事会など連合国による日本の占領管理のための機関も、同時にその存在を終了する、こう考えておる次第であります。この点は先日来同僚官房長から御説明申し上げた通りであります。しからばその時期以後における東京にあるソ連代表部は、これは対日理事会に派遣されたものでございます。従つてその派遣の目的である対日理事会が終了いたしますので、同代表部の存在理由も消滅いたすわけでございます。爾後におきましてその代表部をいかなる取扱いをいたすか、またいたすべきかという問題につきましては、目下考究中でございまして、こういたしますというふうに明確に御答弁申し上げられない次第でございます。
佐々木(盛)委員 講和條約の効力発生に伴つて、対日理事会というものが解消する、従つて対日理事会に派遣されているところの、東京にあるソ連代表部というものも、当然その存在の法理論上の根拠を失うのだ、当然これは解消するのだという御答弁であつたと思います。そういたしますと、解消したということを、これは外交上の事務上の問題でありますが、対日理事会の方からでも日本政府の方へ通達があるというような手続をとるものか。博え聞くところによりますと、ソ連の本国政府におきましては、依然としてこれは存続し得るのだ、残しておくのだというような、主張をなしているやに聞くのであります。それらの点についてはいかがなものでありますか。
西村(熊)政府委員 御答弁申し上げました通り、対日理事会にいたましても対日理事会に派遣されております各連合国の代表部でしかございませんので、この代表部というものは連合国間の機関でございますので、対日講和條約の発効と同時に、連合国間においていかなる措置がとられるかということにつきましては、日本政府としてははつきり承知いたしておりません。問題は連合国間の問題であるわけでございます。また御質問のソ連邦の方でこの問題についての考え方をいかに持つているかという点につきましても、私どもの承知しておる範囲内におきましては、今日まで何ら公的な意思表示があつたように存じておりません。新聞にもそういう趣旨の報導が載つたことを記憶いたしておりません。御質問の二点は、私どもとしては何ら承知いたしていない次第であります。
佐々木(盛)委員 そうすると、日本にあるソ連邦の駐日代表部が解消するという法律上の根拠はわかつたわけでありますが、それの取扱いについては連合国間の問題である、対日理事会において決定する問題である、こういうふうな御趣旨のようであります。それでは対日理事会において、ソ連のみのらず、日本にある三国の代表というものを解消するという意味の通達というものが、日本政府に対して手続される、こういうふうに了解すべきものでありましようか。
西村(熊)政府委員 その点は関係連合国間の問題と考えます。今日までのところ、私どもは何らはつきり存じておりません。
佐々木(盛)委員 もし対日理事会からわれわれの期待するような、日本にある代表部の解消というようなことを正式に通達して來るというような手続がとられなかつた場合、日本政府といたしましては、少くとも法律上は、対日理事会に対し、代表部の解消というものを、主張する根拠があると私は考えるわけであります。その点についてはどういうふうにお考えになつておりますか、またどういうふうに措置されるというお考えでありますか。
西村(熊)政府委員 問題は、今日からいろいろな場合を想定いたしまして、その対策というようなものをきめておくというような性質のものではないと考えております対日平和條約の発効を待つて、それと同時に連合国間の方でこの問題がいかように処理されるかということを見まして、しかる上に、日本政府としては愼重に諸般の事情を考慮に入れて、最善の措置をとるように、いたすべきものである、こう考えておる次第であります。
佐々木(盛)委員 事務当局としての立場はよく了解をするわけでありまして、このゆえに私は冒頭にあえて申し上げたわけでありますが、主として法理論上の根拠について明らかにしてくれということを申し上げたわけでありまして、今後とるべき最高の政策については、本日承ろうとしているわけではないのであります。ただこれらの点の法律上の根拠というものを、私はあくまでも明白に把握しておかなければならないということで、お伺いをいたしたような次第であります。それぞれの法律上の根拠につきましては、ただいまの御説明によつて大体了解できました。

……


     

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