軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

『究明する会ニュース』161号・要約

恒例の厚生労働省交渉、開催す

鳥居 靖(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・事務局長)

 3月21日(木)、厚生労働省交渉が行われた。究明する会からは常石、川村、平野、根岸、鳥居、厚労省からは甲田徳康大臣官房厚生科学課々長補佐が出席。

要請書を渡す常石代表
厚労省の回答
  1. 人骨の保管状況について、2012年度の納骨施設来訪者は二月末までに206名。拝礼式は3月27日に行う。
  2. 若松住宅の発掘調査が行われ、その報告書は入手した。これから精査するが、今のところ新たな手がかりは得られていない。
  3. 保管人骨の身元調査に関して、新たな手がかりがないので、鑑定を実施する状況にないと考えている。陸上自衛隊衛生学校の人体標本に対する調査も防衛省の意見も聞きつつ、実地調査をする状況にないと考えている。

 私たちは、89年人骨の中にある四肢骨の由来を究明する上で、若松住宅で発掘された大量の義肢制作の材料等は重要な示唆を与えていると指摘したが、厚労省としては直接身元確認に繋がる情報は得られない、対費用効果の問題がネックになるとの見解。また、89年人骨の適切な保管と、傷んでもデータだけは残して欲しいと要望した。

ほっと一安心
 保管施設の中は棚に14の桐の箱が配置され、温度計、湿度計を設置、必要に応じて警備員が乾燥剤の量を調整している。我々が考えていた以上に慎重かつ適切に人骨の保管がなされている。

お花見ウォーク報告記
散った桜を踏みつけて

鳥居 靖(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・事務局長)

 いつものコースに加え、旧陸軍科学研究所の周囲を回りながら豊多摩病院跡地を巡った。前半に力を入れすぎて後半がおざなりになってしまったことを反省。

道の向こうに豊多摩病院跡が…
陸軍軍医学校正門付近
昭和2年の豊多摩病院(豊多摩病院史より)

豊多摩病院の沿革
 1897年に伝染病予防法が公布され、豊多摩郡13町村共同経営で臨時開設制の隔離所を、大久保病院の一部を借りて開設。1902年、柏木に移転し常設とした。関東大震災のあと鉄筋コンクリートの新病院を建築。伝染病の縮小傾向に合わせて1966年に廃院、現在は東京都子供家庭総合センターが建つ。
 因みに1938年9月14日、治安維持法で野方署に拘留されていたプロレタリア川柳作家・鶴彬が、赤痢に罹り豊多摩病院に搬送、享年29歳で死亡。「鶴彬 こころの軌跡」として映画化され、また病院跡の隣接地にある北柏木公園に句碑建立を求める運動が起こされている。

アンケート結果
省略

新聞記事

朝日新聞:ハンセン病患者 20人の骨格標本《2013年5月10日》

「お花見ウォーク」に参加して

宋 民亜

 三月末日、鳥居さんの案内する「お花見ウォーク」に参加した。どこまでも灰色の空が広がり、時折冷たい風が吹く寒い日だった。
 人骨が一時保管されていた「公営社」や梅谷庄吉屋敷跡を通り、「豊多摩病院」のあった場所を見上げながら、高鶴さんに鶴彬の川柳を聞く。
「屍のゐないニュース映画で勇ましい」
「手と足をもいだ丸太にしてかへし」
鋭く戦争の本質を見抜いた鶴彬は、二九歳の若さで亡くなった。殺された説もあるという。
毒ガスを研究していた第六陸軍技術研究所の跡地には、現代的な建物が並び、季節の植物がとりまいている。人の手できれいに整えられた風景のなか、過去をたどりながら歩いていくと、目に映るものの陰影が濃くなるような気がした。風景の中に、教えてもらわなければ、決して知ることがなかっただろうことがたくさんあった。その一つが「境界石」。民家の塀の一部と化した石には、確かに「陸軍」の文字が刻まれていた。……「国立感染症研究所」の遺骨保管施設の碑には、桜の花びらが次々と降っていた。碑に刻まれた「静和」の文字を見ながら、生きていた一人ひとりを想像し、未だ静かでも安らかでもないのではと、心がざわめいた。どんなふうに生きて、どんなふうに殺されたのか。
「お花見ウォーク」の終了するころ、雨がぽつぽつと降り始めた。灰色の空とくすんだ桜の色が、犠牲者の無念を映しているようにも思えた。

国立感染症研究所納骨施設前で記念写真・日中学院九条の会
展示中
ウィズ新宿に人骨問題研究会(人骨の会新宿支部)の紹介パネルを展示

2013年 連続フィールドワーク
第2回 陸軍軍医学校の始まりと軍陣医学

6月2日(日)
飯田橋駅西口

『龍子さん』プロジェクト始動?

 東大医学部本館標本室に子宮内胎児標本(通称・龍子さん)がある。平野さんが季刊戦争責任の「レッツ」に書いた文をきっかけに会合が開かれた。

20年目の731部隊展

8月29日~9月1日の明治大学駿台校舎を皮切りに、今年新たな展開を計画中。

2013.5.12

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