軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

『究明する会ニュース』154号・要約

発掘調査 住民説明会「人骨発見されず」

根岸 恵子

 2月25日、3月6日の二回、財務省は旧若松住宅内児童遊園の発掘調査について住民説明会を開いた。
 発掘調査は2月1日から試掘調査が始められ、責任者はテイケイトレードの埋蔵文化財事業部調査課 雑賀重智さん、関東財務局から池田季樹国有財産監査官、新宿区から文化資源係の栩木真主任が立ち会う。ユンボはザクザクと穴を穿ち、時々佐野一絵専門員(テイケイトレード)が何かを発見するとそれを止めていた。
 2月3日に試掘は終わり、試掘坑3からは当時の建物の遺構が出ていた。その日ヘリコプターが上空を長いこと旋回し、しばらくして警視庁の人が見えた。埋蔵文化財が発見されたため、東京都や新宿区と協議しているとのこと。その後本調査となり、今回の説明会となる。

第一回説明会 対象地区(第一工区)

 一回目の説明会は、対象地は第1工区。児童遊園を東西に二区に分けた住宅地側半分の地域。説明会には財務省関東財務局管財第1部 第3統括国有財産管理官山上一夫さん・池田季樹さん、テイケイトレードから雑賀さんと佐野さん、宇田川さんが参加。軍医学校当時の建物の基礎、下水の汚水枡のようなものが2ヶ所出土。江戸時代の埋蔵文化財が発見され、東京都によって調査されるということ。また、一号土坑という穴が発見され、軍医学校時代の遺物が多く出土した。石井さんの証言のように、ここに技工室があり、それに関係する義足やコルセットが発見された。

試掘の様子(2月2日)
埋蔵物が出るたびに作業は中止
1工区で発見された1号土坑
義手・義足の一部
医療用コルセット
発見された大量の模り用石膏
第二回説明会 対象地区(第二工区)

 3月6日の説明会は、第二工区と呼ばれる道路側の地区の発掘調査結果について説明を受けた。対応したのは財務省から山上さんと木村さん、テイケイトレードからは一回目と同じ。遺構や発掘された医療関係の遺物の量は大変多かった。旧正門近くに遺構の基礎が出土、下部のレンガも残っていた。また、塀に沿って廃棄用に掘られた穴が五つ発見された。宇田川さんは廃棄するための穴をきちんと四角に底も平らにして掘るのは珍しいと感心していた。中からは夥しい数の試験管、薬瓶、型を取るのに使用された石膏。ガラスの板、映像用のフィルム(再生不可)。それから一区と同じように江戸期の瓦や陶器も発見された。陸軍のマークや「醫校」が印された国民食器等も発見された。四号土坑からは木箱が発見された。木箱は腐っていたが、未使用の薬瓶や試験官が大量に見つかった。

石膏の手形
軍用食器
四角い土坑
建物のコンクリート基礎・一部に煉瓦
薬瓶
ビデオか映画のフィルム
劣化がひどく再生できず

新聞記事
東京新聞:旧陸軍軍医学校跡人骨調査 初日は発見されず《2012年2月2日(木)》
東京新聞:新たな人骨発見なし《2012年3月8日(木)》

渡辺登さん 追悼文の追加
張可偉さんから石川久枝さんに宛てて追悼の手紙

石川久枝様
こんにちは! まず私たち夫婦から、渡辺登氏がお亡くなりになったことに対して、沈痛なる哀悼の意を表します。同時に石川さんの更なるご自愛をお祈りします。
渡辺氏は、私にとって1991年以来の日本の友人。…渡辺氏は、中国を訪問し、陳毅先生と面会し、七三一部隊の被害者遺族と面会・慰問後、ハルビン、長春、錦州を廻られました。…渡辺氏は、同志たちと懸命に努力され、日本で七三一部隊展や国際シンポジウムを開催しました。…
渡辺登氏は、ご苦労をいとわず日本軍国主義の中国侵略行為を暴露し、日中両国人民のために多くの調査活動をし、1996年癌を発病され、逝去されました。
我々は渡辺氏に対し、崇高な尊敬の念を抱いております。渡辺氏のような同志と一緒に行動して来たことを誇りに思います。また光栄に感じております。
渡辺登氏は瞑目されました。彼が切り開いた革命事業はますます発展するでしょう。その陣容はますます大きくなるでしょう。

以下省略

2011年末 張 可偉

wamから高麗博物館へ
「もう一つの新宿 日本の戦争加害と共生を考えるフィールドワーク・ガイド」のコースを歩いてみた

鳥居 靖(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・事務局長)

 3月4日(日)、NPO法人練馬人権センター(代表 中川寿子)の一行を案内した。
 一行15名は、まずwamを訪ね、展示を見て資料館事務局長・渡辺美奈さんのお話を伺った後、高麗博物館に向かう。その間の人骨問題の現場を含むコースを鳥居が案内した。高麗博物館では、副理事・田崎敏孝さんの解説で展示を見学した。

人体の不思議展、開催中止!

鳥居 靖(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・事務局長)

 「人骨問題を究明する会」では、「人体の不思議展」開催の当初から、その非倫理性、不透明性に疑問を感じ、開催に反対してきた。
 京都の裁判闘争は、地裁で棄却の不当判決。その後、日本医師会は人体の不思議展に協力しないという生命倫理懇談会(座長 高久史麿日本医学会会長)の報告を出した。
 その結果、人体の不思議展は中止に。残された問題も多々あるが、取り敢えず、所期の目的は達成された。それにしても、残されたプラストミック標本の今後の行方が気になる。

新聞記事
京都新聞:「人体展」で苦痛《2012年2月17日(木)》
京都新聞:人体の不思議展「認められない」《2012年3月8日(木)》

「人体の不思議展」のホームページ  http://www.jintai.co.jp/
(2020.05.24現在リンク切れです)

インフォメーション

<遺棄毒ガス裁判情報>

3月23日(金)13:30~15:00 東京高裁101号法廷 チチハル控訴審(結審)
4月16日(月)10:00~  東京地裁705号法廷 敦化事件(判決)

<15年戦争と日本の医学医療研究会>

第31回研究会・総会
日時 3月20日(火)11:00~17:00
会場 京都大学医学部本館管理棟2F
連絡先 西山勝夫
URL: 15年戦争と日本の医学医療研究会

<731部隊のすべて~人体実験・細菌戦~>

日時:4月15日(日)13:30~16:30
場所:東京ウィメンズプラザホール
証言:王亦兵(人体実験被害者遺族)、胡賢忠(細菌戦被害者)、徐万智・王選(同遺族)
報告:奈須 重雄
解説:松村高夫(慶応大学) 挨拶:金成民、周桐(毒ガス被害者)
共催:731部隊・細菌戦資料センター(03-3501-5558 一瀬)/ 731部隊被害者遺族を支える会(03-5379-2607 大谷)

2012年 お花見ウォーク
「もう一つの新宿 日本の戦争加害と共生を考えるフィールドワーク・ガイド」の道を辿る

期日:4月1日(日)午後12時45分集合 13時出発
集合場所:JR新大久保駅改札口
参加費:500円
学習会:新宿区立障害者福祉センター会議室2・3 午後4時頃(予定)
解説:川村 一之(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会)
主催:軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会
共催:人骨問題研究会
連絡先:080-3157-1858(鳥居)

連続フィールドワーク 第二回以降 各回13時出発

2012.1.22

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