軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

『究明する会ニュース』139号・要約

人骨発見20周年集会「強制連行と遺骨調査」報告その1
第二部 追悼式

鳥居 靖(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・事務局長)

(第一部の講演は次回から)

  • 常石 敬一(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・代表)
    納骨施設と追悼の挨拶をする常石代表
    •  この納骨施設に納められている骨が訴えていることに耳を傾けているのだろうか。ましてやこの遺骨の方々の人生を蘇らせるところまでは、とても行っていません。今日の野添さんのお話を聴きながら、(遺骨たちの)生きていた時代、人生を蘇らせること、それを20年経って何もできていないなあと、今日のお話で強く思いました。
       今日は多数の方が来て下さいました。でも一人でもやっていかなければいけないというのが今日のお話。これが20年の節目に安置されているご遺骨の方々に約束することです。
      これを僕の弔辞といたします。
  • 川村 一之(司会)
    •  黙とうを始めます。
  • (沈黙の時間)
  • 二階堂 行寿(専福寺住職)
    専福寺 二階堂行寿住職
    •  今日の野添先生、常石さんのお話を聞き、遺骨というのは私たちにとって一体何なのかということを思います。
       大震災の時の遺骨を中国へ返還する活動を長い間続けておられる浅草のお寺がある。私が20年ぐらい前から付き合っている多摩全生園(ハンセン氏病の施設)でも、遺骨が自分の生家に帰れないと言う問題がある。もう一つ厚労省の要請でそれぞれのお寺にある所在不明の遺骨の再調査をしてもらいたいということがあり、全国で数件の例が出てまいりました。
       遺骨の声を聴くという言葉がありましたが、ただ単に遺骨を返すだけでなく、生きている我々一人一人がどういう世界を願い、どういうところに返したいのか、ということがある意味では遺骨から問われていると、常日頃感じています。
  • 鈴木武仁(東京信愛教会牧師)
    東京信愛教会 鈴木武仁牧師
    •  そこ(若松町)に石井四郎がおりました。七三一部隊の中心人物で美しい鼻髭を生やしていました。1959年10月9日に喉頭癌で亡くなり、近くの月桂寺に墓があります。
      昭和15年、ペストが新京を中心に発生したために政府は石井四郎に命じて新京の三角地帯を焼き払った。それから日系官吏たちは、宴席で鬚ペストの唄を唄った。

      「あな恐ろしや黒死病、一度これに罹るなら たちまちころりと地獄落ち
       三角地帯の真ん中に 患者の出たのが運のツキ 現われ出でた鬚ペスト
       号令一下家々を 跡形もなく焼き払う あな恐ろしやペスト菌
       わが身に付いた一匹の ノミにさされりゃ冥土逝き 医者も薬も役立たぬ
       ペストの始めは腺ペスト それから進んで皮膚ペスト 一番悪いが眼ペスト
       患者が増えると肺ペスト こうなりゃ空気伝染で 防御の道は閉ざされる
       あな怖いかなペスト菌 怖いペストのその中で 一番怖いが鬚ペスト」

      何故石井四郎がそれだけ恐れられていたのか、それは細菌兵器を研究し、細菌戦実施へと進めた中心人物であったから。
      今から20年前、私たちは反対したが品川の国立予防衛生研究所がここに移転する。1989年にこの建設工事現場で人骨が発見されたが、元看護婦の石井さんはこの先の厚生省の建物の下に今も未だたくさん埋まっていると私に語った。
      ここから出てハルビンや中国に行き、多くの犠牲者を出した部隊がここに戻ってきて、さらにここに標本を置いた。まさに古巣帰りではないか。七三一部隊の隊員は人体実験の資料をアメリカに引き渡すことで免罪され、医学界に復帰し、その研究成果がアメリカに渡り、鮮戦争やベトナム戦争に生かされたとも云う。
      私たちはこの人骨が虐殺された暗黒の歴史、不の遺産を塗り替えてはいけません。ある日突然日本軍に捕らえられ、消息を絶ったままの身内を持つ家族が中国には今もおります。もう殺されたとの消息を聞くもあきらめ切れない人びとがおります。私たちは今日このことを思いながら、この20周年のときを覚えるのでございます。
      (略)今世を去った人々を主の御手に委ねます。どうかこれらの屈辱的、非人道的なる死を遂げた方々を迎え、恨みと嘆きがもたらす罪と死と滅びから解放し、許しの心が与えられ、喜びの日栄光ある復活に導き愛する家族と安らかに憩うことができるように道を開いてください。また、御国ある喜びを味わいてください。救い主・主イエスキリストにおいて、お願いいたします。アーメン。

  • 川村 一之(司会)
    •  これより代表献花を、人骨の会の平野利子より。
  • (人骨の会代表・平野利子献花)
  • 川村 一之(司会)
    •  それではお一人お一人、それぞれの立場で追悼をお願いします。
  • (参加者、各自献花・追悼)

人骨の会代表・平野利子
納骨堂に献花
元人骨焼却差止め訴訟
原告団長・渡辺登
東京朝鮮人強制連行
調査団・李一満さん
増える団体申し込み
納骨施設を巡るフィールドワーク、ますます好調

安松 狢

 フィールドワークの参加申し込み団体が増えてきた。今年に入ってから、8月24日、横浜市教組社会科教育推進委員会25名。11月1日には、新宿女性九条の会20名。
新宿女性九条の会からアンケートが届いた。

フィールドワークと交流の感想(内容省略)

もう一つの「坂の上の雲」を歩く

来年は、NHKがドラマ「坂の上の雲」を放映することに合わせて、『もう一つの「坂の上の雲」を歩く~司馬遼太郎が描く『明治という国家』とは~』というテーマで、連続フィールドワークを企画。

第一回 2010年5月23日(日)「日清・日露戦争『10万の英霊』」
コース:しょうけい館→靖国神社境内→遊就館
第二回 2010年9月26日(日)「江戸から明治へ~近代国家への歩み~」
コース:皇居東御苑(大手門、松の廊下跡、天守台)~九段会館内の戦跡
第三回 2010年11月21日(日)「秋山好古が学んだ陸軍士官学校」
コース:東京メトロ市ヶ谷駅構内の江戸歴史資料コーナー~赤坂見附
第四回 2011年1月23日(日)「上野戦争(徳川と薩長連合の代理戦争)の戦跡」
コース:正岡子規記念野球場など

連続学習会開催

フィールドワーク事前学習会を開催

2010年1月24日(日)「国定教科書に見る軍神」
新宿区消費生活センター第1会議室
講師:丸浜 昭さん(東京歴教協会長・筑波大学付属駒場中学・高等学校教員)
資料代:500円

来年もやります、お花見ウォーク

3月27日(土)「お花見ウォーク」開催。wam(アクティブ・ミュージアム・女たちの戦争と平和資料館)と高麗博物館と三者の共催で、両博物館をつなぐコースを歩く(要予約)。

《「731部隊」を考える日中の集い》のご案内

新宿区戸山の軍医学校跡地で人骨が発見されてから20年という節目の今年、私たちは問題の原点に戻るべき中国への旅を企画した。七三一部隊跡も現在では発掘整備が進み、埋もれていた遺構も見学できる。新たな資料も展示され充実した資料館となり、訪れることは新たな発見につながる。この旅に参加しませんか。それはまた、新しい時代への足がかりとなる。

「七三一部隊」問題、日中の集い実行委員会呼びかけ人
大谷 猛夫・鳥居 靖・長沼 仁・根岸 恵子・長谷川 順一・三嶋 静夫・南 典男・山田 勝彦
連絡先:中国人戦争被害者の要求を支える会・気付:03-5379-2607

2009.11.8

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