軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

『究明する会ニュース』137号・要約

人骨発見20周年集会「強制連行と遺骨調査~人骨は帰りたい~」
野添 憲治 さん
7月20日(月・祝)
戸山サンライズ
挨拶・常石 敬一(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・代表)
講演・野添 憲治
納骨施設で追悼式
事前勉強会を行って
―中国人強制連行とは何か

川上 奈緒子

 5月17日、中国人強制連行について勉強会。
 中国人強制連行は戦時下、日本国内の労働力不足を補充するために行われた。42年「華人労務者内地移入に関する件」が閣議決定。「試験的な移入」の後、44年に「華人労務者内地移入促進に関する件」が次官会議で決定。この政策に基づいて44年~45年、35の企業、135ケ所の事業場に約4万人の中国人が日本へ連行され、6830名の死者を出した。戦後、外務省管理局が全事業場へ中国人の「移入」に関する報告を提出させた。事業場が提出した『華人労務者就労顛末報告』をもとに外務省が作成した資料が『華人労務者就労事情調査報告書』。

花岡について
 第1次は299名中147名死亡。第2次は589名中252名死亡。第3次は98名中15名死亡。戦後の残留者41名のうち4名が死亡。どのように亡くなられたのか、はその責任の所在を含め、記録されるべき。

地崎組について
 11事業場への「移入」状況と死者数を報告。配置転換や他の職種への異動を行っている。船舶・鉄道を用いて北海道まで連行した大事な労働力を高い死亡率で失ったのはなぜか?さらに地崎組は「不良華人」と呼ばれる人たちを全国の事業場から集めている。

 中国人強制連行は日本国内の労働力不足を補うためとされるが日本国内だけではなく、日本・満州・中国における労働力の再配置という観点からの考察や大東亜共栄圏という大枠(泰緬鉄道でのロームシャや朝鮮人強制連行などとの比較考察)にあてはめて考える必要性が求められる。

報告者・川上奈緒子さん
報告の後、活発な議論が
人骨発見19周年集会
「国に問われる責任~つぐないか、救いか~」報告⑤

第二部・パネリストの補足発言と質疑応答
  • 泉 祐子
    泉さんと浅倉さん
    • 国は薬の害を知っていたにもかかわらず、有効性を優先して責任を認めなかった。それから議員立法で救済法ができたが、長引く裁判の中で苦渋の選択であった。検証委員会ができて原告の2名のメンバーのうちの一人になった。副作用対策で300人体制にするというが、予算措置の問題でこちらの知りえないことを厚労省が先に用意していくというやり方に大変抵抗を感じた。
  • 長谷川 順一
    • 人骨の会のメンバーで、東京の戦争遺跡を歩く会に所属。戦中の徴兵と強制隔離の関係は?
  • 神美 知宏
    • 徴兵検査で発見されて、即療養所へ強制隔離という例はたくさんあった。
  • 阿部 則司
    • ヨーロッパにおいてEUへと進んだドイツの実践は、アジアにおけるヒントになるか。
  • 佐藤 健生
    • ドイツは隣国の大半を侵略した。ナチスの「権利承継国」として後始末を西ドイツが引き受け、当面不利に見えるかも知れないことをこつこつやってきてここまで来られた。EUに加わろうとする国にとっても後ろ盾はドイツの経済力。お互いの本音をきちんとつかめていれば、お互いがお互いを利用していいという欧米のしたたかさ。ついでに言うと、イタリアなんかもっとしたたかで学ぶべき。両大戦とも気がついてみれば戦勝国。
  • 小野 喜彦
    質問する小野さん
    • 強制連行・強制労働問題で、鹿島建設や間組との交渉に参加している。交渉には責任ある立場の人は出てこない。出てきても裁判中と言って逃げている。国の影がちらつく。浅倉さんらの場合は、国は和解を進めているのに製薬会社は役員が出てこないというのはどうしてか。
  • 泉 祐子
    • 今、交渉に出る執行役は旧ミドリ十字の方を楯にしている。理由はフィブリノゲンや第九因子で罹った被害者がどんどん出てきて、もうすぐ1000名近い原告が提訴する。となると、企業にとっても大変な損害金。企業も国の対応を見ているところ。
  • 常石 敬一(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・代表)
    • 病気と闘っているのに国とも闘わなければいけない。1968年のカネミライスオイル事件では、死者も大勢出て孫の代まで影響が出ているが裁判の過程でちょっとごたごたし、国は被害者たちに国から出たお金を返せと言っている。国は認可しているから責任は免れない。ミドリ十字は吉冨製薬と合併、吉冨製薬が三菱に吸収されている。
  • 河野 達男
    新宿区議・河野さん
    • 新宿の区議会議員。川村さんの報告で、厚生労働省の新しい動きが出た。新宿議会でも地域でもいろいろちゃんとやっていかなければいけない。国は情報を隠す。薬害肝炎問題、ハンセン病問題も含めて国の姿勢を正させるという気持ちで一緒に闘わなければいけない。
  • 泉 祐子
    • フィブリノゲンという製剤は1964年に承認された。普通、新薬の承認には160投例くらいの治験データが必要だが、この製剤は1~2例しかなく、日本国由来の治験データはない。何年か後に再評価という審査があるが、この薬は取り下げてしまい審査を受けない。ところが承認当時「フィブリノーゲン」という名前が、再評価の時期に「フィブリノゲン」として新薬として出され、そのまま認められて被害を大きくした。この薬は儲かる薬だったので企業が推奨したという資料が残っている。それで産科学会の先生方も学会誌で推奨した。
  • 常石 敬一(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・代表)
    • 骨の会も厚生労働省と交渉してきて15年くらい。その間一人だけまともな役人がいた。さっきのお話で薬害の副作用を防ぐために300人体制をつくるためにゲノムがどうのと難しいことを言い出す。要するに、お役所というのは相手が法律に詳しいと見るとサイエンスの話をし、相手が科学者だと思うと法律の話をして煙に巻く。これは喧嘩の常套手段。
  • 根岸 恵子
    発言する根岸さん
    • ジフテリアの予防接種禍についても、薬害エイズについても薬害肝炎の問題についても、私はどこか後ろにアメリカの圧力があると思う。国が悪いことをする前に国民がそれにノーと言えるようにしていきたい。

人骨前史をフィールドワークする
~731部隊を生んだ日本陸軍80年を歩く~PART5
明治天皇の観兵式と陸軍青山練兵場

 5月24日(日)、21名の参加者。四谷駅から江戸城外堀を見て明治時代の遺構・旧御所トンネルを通ってJR信濃町駅へ。兵器補給部があった慶応大学病院(駐車場に境界石)から青山軍用停車場跡を横に見ながら神宮外苑へ。明治時代青山練兵場として使用され、明治天皇が死去して一年後神宮外苑が造られた。一同は明治維新と明治天皇を讃える展示満載の聖徳記念絵画館を見学。樺太日露国境確定石碑などを廻って、出陣学徒壮行の碑の前で終わる。 最後にガイドの長谷川さんは遺棄毒ガス被害者国賠訴訟の支援を訴えた。

御所トンネル
聖徳絵画館入口の石段で記念写真

読売新聞都区内版に紹介記事
2009年5月23日(土):『戦争遺跡を歩こう』

スタッフ大募集!!
来年以降の継続を目指して、フィールドワークのスタッフ募集。

新刊紹介

ニュース合冊第2集・第3集 各3000円
20周年記念誌「国に問われる責任~つぐないか、救いか」1000円

2009.6.28

定期購読者募集のご案内

年間4~6回発行している『究明する会ニュース』の定期購読をお願いしています。お申し込み詳細は【定期購読者募集】のページをご覧ください。
inserted by FC2 system