軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

『究明する会ニュース』136号・要約

新たな人骨発掘調査にメド、いよいよ来年中に実現か?
~厚生労働省交渉で一定の進展~

鳥居 靖(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・事務局長)

要望書を手渡す

 3月17日(火)、要望書に基づいて厚生労働省交渉。参加者は人骨の会から常石代表以下、川村、渡辺、石川、保坂、平野、根岸、増田、鳥居。厚労省側からは大臣官房厚生科学課・飯野賢一課長補佐、医政局国立病院部監査指導室・小野勝室長補佐、飯吉徹也同管材係長。仲介の郡和子衆議院議員他、郡和子事務所、金田誠一事務所、辻元清美事務所秘書も同席。

 新たな人骨発掘調査について具体的な検討に入る。調査に当たって考古学的な埋蔵文化財の遺跡調査と同様の体制をとって行うよう強く要望。その他、旧陸軍軍医学校や国立東京第一病院所蔵の人体標本、図書、業務日誌等の保管状況、移管経緯について問い質した。

発見から20年を迎える人骨問題に関する質問と要望

(詳細省略)

  1. 厚生労働省で保管する人骨の取扱い状況に関する質問。
  2. 国立国際医療センター戸山5号宿舎の調査に関する質問。
  3. 旧陸軍軍医学校及び国立東京第一病院所蔵の人体標本、図書、業務日誌等の保管状況と移管経緯について明らかにされたい。
  4. 人骨問題についての要望。

発見から20年を迎える人骨問題に関する質問と要望:補足

  1. 死体解剖保存法附則第7項の人体標本調査について(人体標本の保管記録・保存許可書・剖検記録・埋葬許可証・移管時の保存許可書変更手続きなど)
  2. 国立国際医療センターが保管する旧陸軍病院時代等の資料調査について(詳細省略)

人骨発見19周年集会「国に問われる責任~つぐないか、救いか~」報告④
人骨問題の真相究明

川村 一之(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会)

厚生省と軍隊
 日中全面戦争が起こり、強い軍隊を作るために陸軍軍医学校長・小泉親彦や陸軍軍医大佐・神林浩らの建議で厚生省ができた。
人骨問題の経緯
 舛添厚生労働大臣が2008年5月14日、人骨の身元調査を約束。人骨発見当時新宿区長は身元確認調査を要望、当時の厚生省は埋葬を求めて調査する考えはないと回答。その後由来調査は行ったが、身元調査は行っていない。去年から一年かけて一つ前進した。

陸軍軍医学校の活動
 発見された人骨は陸軍軍医学校の人体標本。戦時中に戦場から病理解剖の材料となる人体の一部が送付されていた。赤十字条約違反。人骨は戦後しばらくたって埋めたという証言があった。元看護婦の石井とよさんによれば、1949年(昭和24年)頃に、国立東京第一病院(旧臨時東京第一陸軍病院)に勤めていた頃に標本の廃棄を手伝った。死体解剖保存法・墓地埋葬法違反。陸軍軍医学校時代の標本類は陸上自衛隊衛生学校の彰古館に移管されている。

病理学教室と人体標本
資料を手にする川村さん
 日中全面戦争が始まった1937年、陸軍軍医学校は病理学研究のために平井正民軍医らを北支に派遣。37年から40年までの三年間に戦場で解剖した数は約2000体、そのうち200体を軍医学校に運んだ。1942年には、「軍陣病理学」という課目が陸軍軍医学校の教育綱領に採用される。この教育綱領改定で、それまで教えられていた「臨床医学」や「国際法」が姿を消している。
国立東京第一病院の病理部長をした大橋成一は、平井が作った標本のうち20数個を保管しており、昭和30年代に自衛隊衛生学校に移した。「自衛隊衛生学校三十年の歩み」にも記載され、彰古館には戦傷標本が61個あることがわかった。その後、衛生学校には71個の戦傷標本があることを確認。

これからの課題
 今後の私たちの活動は、発見された人骨の身元確認調査と新たな人体標本の発掘調査。それを通して陸軍軍医学校時代の戦争犯罪に近づくことができる。
最後に、中国の七三一部隊の犠牲者の遺族の方々から申し立てがあるにもかかわらず、国は人骨の保管・調査の報告を一切していない。私たちはそういう方たちとも一緒になって戦争中の陸軍軍医学校時代の犯罪を明らかにしていかなければいけない。

質疑応答 省略

暖かい陽射しの中に集った20余名は遺骨の何に想いを馳せるか

―連続企画パート4お花見ウォーク「陸軍軍医学校と人骨問題」―

安松 狢

国立科学博物館分館
都安全健康研究センター
人骨発見現場(国立感染研)

 3月30日、参加者約20名。人骨の会の根岸恵子さんの案内で大久保駅から戸山ヶ原(射撃場跡)を通って国立感染症研究所の遺骨の保管施設を見学、献花し、戸山ハイツをぐるりと回り、陸軍戸山学校跡地へ。軍楽学校の演奏場跡でライブコンサートを敢行!深沢さんの歌声は他のグループ(花見客)を圧倒。

陸軍戸山学校軍楽隊演奏場でゲリラライブ

ホルマリンの柩:4
「十五年戦争と日本の医学医療研究会」(戦医研)に出席して

平野 利子

 3月20日、京都の京大会館で「第26回戦医研」開催。元京大教授(病理学)杉山武敏先生の講演を聞いた。杉山先生は七三一部隊病理班だった岡本耕造教授の教室で研究。「七三一部隊の事は覆い隠さずに公表していくべき、私のほかにもいろいろな分野で知っている方はいる、証言してほしい… 」と話された。「人体の不思議展」のプラストミック標本や、私たちの「人骨」についても、病理学者のお立場でどのようなに考えられるか、ご意見を頂きたかった。

新聞記事

朝日新聞:抗日軍捕虜の中国人遺骨 60余年ぶり帰国へ《2009年3月21日(土)》

インフォメーション

人骨発見20周年連続プレ企画
~731部隊を生んだ陸軍80年を歩く~
明治天皇の観兵式と陸軍青山錬兵場
5月24日
長谷川 順一 さん

人骨発見20周年集会
強制連行と人骨問題 ~人骨は帰りたい~
7月20日
野添 憲治 さん

ニュース合冊
近日発売

2009.4.26

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