軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

『究明する会ニュース』126号・要約

「新たな調査の手がかり」に関して、協議書提出
人骨の会、今年二回目の厚生労働省交渉

川村 一之(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会)

新宿区議会だよりNo.232第2回定例会
 人骨問題を究明する会は7月4日、厚生労働省と話し合い。「新たな調査の手がかり」に関して24項目の協議書を提出した。
 出席者は厚生労働省側から大臣官房厚生科学課の藤谷正課長補佐、医政局国立病院課監査指導室の安野豊室長補佐(07年赴任)と岩瀬康裕管財係長の三人。究明する会は常石代表と渡辺、石川、平野、川村の五人。このほか立会人として郡和子衆議院議員の岡田明彦秘書が臨席。
 今回の協議では、陸軍軍医学校と臨時東京第一陸軍病院の器材や標本等及び図書、業務資料が国立東京第一病院に引き継がれ、その後自衛隊衛生学校に移管換えされたと考えられるため、その調査を国立病院課に依頼した。また、石井元軍医学校看護師の証言に基づく国立国際医療センター五号宿舎周辺の人体標本発掘調査に関して調査準備室を設置し、来年度予算の概算要求に盛り込むよう要請した。
 資料は、保管しているか分からないが調査すると約束。人体標本発掘調査については進展なし。
人骨発見18周年集会、大盛況のうちに終わる

鳥居 靖(軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会・事務局長)

 7月22日(日)、戸山サンライズにおいて人骨発見18周年開催。「医学史から見た戦争と軍隊」というテーマで、吉田裕さん(一橋大学・軍事史)の講演。参加者は60名を超えた。終了後、納骨施設・人骨遺棄現場などを見学。

アンケート結果は省略

講演の後納骨施設を見学する吉田先生と参加者
第11回戦争遺跡保存全国シンポジウム、東京で開催

究明する会も積極参加

安松 狢

 2007年8月17日~20日、標記のシンポジウムが開催。究明する会も18日はパネルの一部を展示。19日は特別分科会で人骨問題や会の活動、軍医学校跡地周辺の戦争遺跡などについて報告した。

「Archaeology」2006年 9月/10月号

暴かれたフランコの墓(後編)
スペイン、フランコ時代の犠牲者が彼らの話を語り始めた。

マイク・エルキン
翻訳:根岸恵子

対 立
 集団的埋葬地の発掘は世界的で行われている。アルゼンチン、ボスニア、イラク、チリ… 政府が調査を支援している場合もあれば、非営利のグループだけで行っているところもある。ARMH(スペインの歴史の記憶回復協会)は国際的に見ると貧弱に見えるが、発掘のためのあらゆる努力をしている。

終わりなき闘争
 フランコの死後、共和主義者と極右勢力のせめぎ合いが続く。2002年にバスクの地方政府は、集団墓地調査の委員会をつくった。2004年、中央政府もまた、そのための法律作りに向けて委員会を招集した。そして、市民のために関連資料の情報公開を緩和し、犠牲者に関する情報を集めた。法案が今年の夏の議会の前に出ると期待されている。

 フォンタノサスのボランティアで生物学的人類学の修士学生、ルイス・リベロは言う。
 「だれも犯人を捜そうとしているわけじゃない。これは歴史の回復になる。発掘は問題を公にさらけだして、沈黙の何十年に終止符を打った。そして唯一の疑問は、本当になぜもっと早くしなかったかということ」。

訳者後書き
 日本でもARMHのような組織ができないものだろうか。以前、人骨の会で講演をしてくださった(群馬県埋蔵文化財調査事業団の)菊池先生に話したところ、中国の「万人坑」を調査したいとおっしゃっていた。ARMHの活動は、歴史を風化させず、歴史から私たちが学びえるものを未来のために提供してくれることだと思う。歴史によって葬られた人々が再び歴史の舞台に上がることによって、歴史を回復し、真実が何であったかを私たちに語りかけてくる。過去を覆おうとしているいまの政権に、歴史の真実をつきつけ、私たちの遺骨の名誉が回復されることができたらいい。

どこまで続く?人体の不思議展
大阪展、九月から開催!
疑問を持つ会は公開質問状を送付

安松 狢

 私たちは、人体を見世物にし、商売の道具にすることの非倫理性や献体の入手経路に対する疑問などを問題視し、仙台展開催をきっかけに結成された「人体の不思議展」に疑問を持つ会(代表 苅田啓史郎・元東北大教授)の活動などを紹介してきた。
 9月1日から12月2日まで大阪展が開催されている。マスコミや地域の医療関係者は未だに主催、後援するなど積極的に関わっている。
 疑問を持つ会では、大阪展開催に関わる諸団体に公開質問状を送った。また、人体標本を製作・提供したとされた南京大学は今年3月、上海総領事館宛てに改めて抗議声明を送付した(週刊金曜日 2007.8.31)。
 近畿高等看護専門学校校長・若田泰氏は、【「人体の不思議展」の倫理的問題について】の見解をまとめ、全校学生に発表した。

新聞記事

毎日新聞:
硫黄島に残る1万柱の遺骨 首都の一部 国は収集急げ 置き去りは許されない(2007年8月15日)
赤旗:
戦争遺跡シンポの特別分科会 「軍都東京」めぐり交流 保存が課題に 戦時医学犯罪解明も(2007年8月21日)
毎日新聞:
戦跡を歩く 「人骨」今も霧の中(2007年8月22日)

2007.7.1

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