軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

『究明する会ニュース』111号・要約

人骨発見16周年集会
~戦時医学の実態~満州医科大学の研究~

7月23日(土)午後2時~4時
新宿消費生活者センター
講師:末永 恵子

金田誠一代議士、人骨問題で質問主意書

旧陸軍軍医学校跡地で発見された人骨に関する質問主意書

旧陸軍軍医学校跡地で発見された人骨に関する質問主意書に対する答弁

提出者 衆議院議員 金田誠一 2005年6月10日
答弁者 内閣総理大臣臨時代理 国務大臣  細田博之 2005年6月21日

  • 《質問》
    • 一、
    • 日本国政府は、戦時中の中国において日本の憲兵隊に逮捕され、特移扱として満州第七三一部隊に送致された人々の肉親による申立てに対し、誠意を持って真摯に受け止めるべきと考えるが、政府の所見を示されたい。
    • 二、
    • 現在、厚生労働省が設けた保管施設に保管されている人骨についての身元確認調査等を求める申立書に対する回答は、どの省庁が所管するのか明らかにされたい。
  • 《答弁》
    • 一について
    • 政府としては、遺族からの申立てを真摯に受け止め、平成十三年に「人骨の由来調査」を実施し、その結果を公表したところである。また、当該申立てに対しては、当該申立てに係る文書の持参者と面会し、当該文書を受け取るとともに、当該持参者の要望に応じて、後日、当該持参者との面会の場を設けて口頭で申立てに対する回答を行うなど、政府として誠意を持って対応してきたところである。
    • 二について
    • お尋ねの人骨は、現在、厚生労働省が管理している土地から発見されたものであり、厚生労働省が保管しているところである。したがって、お尋ねの申立書に対する回答については、人骨を保管する立場から厚生労働省が対応するものである。

郭曼麗さんらが新宿区・新宿区議会を訪問する

 東京高裁での「七三一、南京、空爆訴訟」の判決を聞くために来日した郭敬蘭(敬蘭芝)さんの娘・郭曼麗さん、郭娜莉さん、南京の被害者李秀英さんの娘・陸淇さんが、4月20日、河野達男区議の尽力で、中山弘子新宿区長、山添巖新宿区議会議長を表敬訪問、区長、区議会議長とも友好的で、和やかな懇談であった。

新宿区区議会議長・山添議員と懇談
中山弘子新宿区長と和やかに懇談
議長室で懇談(中央は河野議員)

4月21日の送別会での陸さん、郭さんの言葉

  • 陸さん
    •  南京の陸琪です。私の母李秀英は日本軍に20数か所刺され、身籠もっていた7か月の児も殺されました。母はこの無念を晴らすことなく昨年2004年12月に死にました。今回の不当判決には怒りでいっぱいです。しかし、今回日本に来て、こんなに大勢の人が応援してくれていることを目にして嬉しく思います。私たちは必ず勝ちます。
  • 郭曼麗さん
    •  新宿区長は歴史の事実を認め、「平和のために出来る限りのことをします」と話された。彼女の言葉を聞いて、私はとても嬉しく思いました。議長からも大変ありがたい言葉を頂きました。政治的解決がとても必要だと感じたのは人骨の納骨施設を見た時です。人骨が発見された時は、厚生省はすぐに焼却するように言いました。私たちの要求している鑑定の要求はまだ結論はでていませんが、保管されていることは成果が得られたと思います。闘い続ければ必ず成果があると私は信じています。日本政府は過去の事実に対して非を認めないことはとても愚かな行為です。ドイツは戦後処理をとてもうまくやりました。日本政府は賢ければ、事実を認め、非を認め、歴史を鑑として前向きに進めるでしよう。日本政府は常任理事国入りの申請をしているが、基本的な歴史的事実も認めていない国がどうしてそんな資格があるのか、考えて欲しい。日本政府は扶桑社版の教科書の検定に合格させ、小泉首相は靖国神社に参拝する、日本政府の一連の歴史の事実を認めない行為は日本が常任理事国入り出来ない壁です。今中国で行われている反日デモはどうして起こったのか、根本的な原因は日本政府にあります。一昨日のような裁判官にあります。
       私はこんなに私たちを支援してくれる支援者、議員、弁護団など大勢の人達がいて大変嬉しく思っています。

郭曼麗さん遺骨保管施設へ
 区長、議長への友好訪問を終わったあと、「平和のための戦争展」実行委員会の取材。その足ですぐに戸山の遺骨保管施設へ。献花の後、本当に遺骨が納められているか訝っていた。今回の判決や小泉首相の靖国参拝の事実などから、なかなか信用できないようだ。ついで、防疫研究所跡地の標本がまだ埋まったままとされている現場を案内。日本人民は必ずここから生体実験された人々を掘り出すのだと決意を伝えた。これは分かってもらえたようである。
 21日の送別会の席で、彼女は「人骨問題を究明する会」の15年の努力を称えた。

学習院の生徒8名、総合学習で軍医学校跡地をフィールドワーク
学習院正門は明治初期に造られた重要文化財
陸軍戸山学校軍楽隊が演奏していた窪地
投稿:フォルマリンの柩3(その1)

 彼等(人骨)が国立予防衛生研究所(現在・国立感染症研究所)の建設現場から発見され、もうすぐ16年。紆余曲折を経て、約二年後、当時、札幌学院大学の佐倉朔教授が鑑定した。その鑑定報告でフォルマリンやアルコールにより防腐処理され、固定されていた「標本」があった。そのような「標本」はごく限られた専門分野で行われていること。しかし、そういう分野からの救いの手は佐倉教授の鑑定以外、全く差し伸べられていない。専門家の意識の中で、人から「標本」という物に変わる時は、まだ赤い血の色のある生身の組織がフォルマリンに浸けられて固定され、白くなっていくその時だと言う。
 国際的信頼を失うことを恐れたり、秘密にしたい、個人のプライバシーを詮索したりしない方がいいと言われる方もいるかも知れないが、どこで発見されたのでもない、日本の東京の真ん中で掘り出されたのだ。到底、隠蔽などできないし、何よりも謝罪や補償を求められている国民として、謝罪するにしても、補償するにしても事実を確認すべき。その事実を解明することこそが、私たち世代の謝罪と補償の在り方だ。

(つづく)

2005.7.3

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