軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

『究明する会ニュース』91号・要約

納骨式、無事挙行さる

~厚生労働省、旧陸軍軍医学校由来の遺骨を、弔意を示しつつ納骨~

 納骨式(拝礼)は、雨の中約50人が集まった。午前10時に最後の「遺骨」が入った桐箱を職員が納骨した後、参列者が献花。保管施設は正面に「静和」と刻まれ、その前に献花台をしつらえ、側面のプレートには以下のように書きこまれた。

 この地には、昭和20年まで
旧陸軍軍医学校があり、平成元年
7月に、戸山研究庁舎の工事に
際し、同校の標本などに由来する
と推測される多数の人骨が出土した。
ここに、これらの死没者の方々に
心から弔意を表する。
平成14年3月 厚生労働省

納骨施設に添えられたプレート
2002年第一回人骨問題研究会

医学と戦争~「極秘 駐蒙軍冬季衛生研究成績」を読む~前編

 3月2日、標記の研究会開催。1995年に現代書館から出版された復刻版「極秘 駐蒙軍冬季衛生研究報告」(鱒沢彰夫編)を読み、討論。発言は、湯浅謙、鱒沢彰夫、保坂瑛一、平野利子、常石敬一の各氏。今号は湯浅氏の発言のみ掲載。
【湯浅 謙(医師・中国帰還者連絡会・元陸軍軍医)】
 去る大戦で北支山西省に従軍し、軍医として中国人の手術演習などを行い、戦犯として拘留され、中国の寛大政策で帰国してから戦争中のことを話している。
  本の内容は、駐蒙軍が八名の中国人捕虜に生体解剖をした記録。当時日本軍は中国軍に負けていた。三光作戦等どんなことをしても勝つという至上命令の下にあらゆることを行った。
  場所は、西蘇尼特という寒い所。現地に着いてから体力測定を行い、貫通銃創の処置演習、止血試験、凍傷発生時間の観察、患者輸送・運搬の訓練など、野外・第一線における処置訓練及び試験を行う。一般の演習以外に、手術用天幕内で開腹手術、大腿切断と縫合、皮膚切創の止血・消毒などの演習、或いは凍結保存血、異種血、死体血の輸血を実施。最後の日は慰霊祭。どういう気持ちで行ったのか…
  生体解剖は、私の病院でもやったし、各地でやっていた。中央档案館発行の「生体解剖」によると、北支だけで二~三千人の軍医が生体解剖をやっている。そういう歴史はまったく語られない。歴史の事実を知らさないと戦争の恐ろしさも知らない。また、戦争になるかも知れない。そうならないために私は日本軍の、特に軍医としての罪悪を話している。

お花見ウォークの一行、納骨施設に献花

 4月7日、JR大久保駅に集まった17名は、川村さんの案内で、新宿戦跡巡り。一行は、3月26日まで遺骨が保管されていた公営社の前を通り、陸軍の各施設跡を巡り、国立感染症研究所内へ。ここから元軍医学校看護婦の石井十世さんが合流、衛視さんの案内で納骨施設を訪れ、皆で献花して弔意を表す。申し出れば休日でもいつでも訪れることができる。

投稿 お花見ウォークに参加して

西本 章

 何気なく通り過ぎれば何でもない町並みも、問題意識を持って見ると全く別の姿が見えて来る。今回の経験で、戦争の記憶の継承はできると思った。
 戦中化学兵器を研究していた施設があった場所に立ち、これが大久野島や曽根、中国での化学戦から遺棄へとつながって行き、それによって戦中戦後、多数の被害者を出した事を考えると、この様な事態を引き起こした責任を追及しない訳にはいかない。中国での出来事と新宿という身近な街とが一本の線でつながっている事を、頭だけでなく身体で感じることが出来た。

2002.4.21

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