軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

旧陸軍軍医学校跡地で発見された人骨に関する質問主意書

提出者  金田誠一

 1989年7月、厚生省(当時)の戸山研究庁舎(新宿区)の建設現場から多数の人骨が発見された。同現場は、旧陸軍軍医学校の跡地であり、旧満州第七三一部隊(関東軍防疫給水部)と関係の深い防疫研究室が存在していた場所である。
 この人骨について厚生労働省は、土地の管理者としての立場から人骨の由来についての調査を実施し、2001年6月には調査結果を公表するとともに、今後の対応について明らかにしている。公表された「調査結果の要約」によれば、人骨は「昭和20年8月以前の旧陸軍軍医学校にあった標本類又は標本作成用あるいは医学教育用に集められた死体の一部である」と推測され、「その中には戦場から集められた戦死者等から作成されていたものが含まれていた可能性がある。」とされている。
 その上で、「今後の対応」としては、「国が処分した人体標本に由来すると推測されることを踏まえれば、国が埋葬及びそれまでの間の保管に当たるべきであると考えられる」として、現在、人骨は現場近くに厚生労働省が設けた保管施設に、「弔意を示しながら」保管されている。
 この人骨に対し、戦時中に日本の憲兵隊に逮捕され、特移扱として満州第七三一部隊に送致された人々の肉親から、身内の死体の一部ではないかとの疑いがもたれ、日本国政府に対し、身元確認調査と身内との本人確認を求める申告が相次いでいる。
 ハルビン市在住の敬蘭芝氏は、夫、朱之盈氏の特徴を記し、1991年6月11日付の申立書を同年7月18日に外務省に提出した。
 錦州市在住の張可偉氏は弟の張可達氏とともに、父、張恵中氏の写真を同封し、1991年6月18日付の申立書を同年7月18日に外務省に提出した。
 瀋陽市在住の王亦兵氏は、父、王耀軒氏と従兄の王東昇(王学年)氏との確認調査を求める1998年3月19日付の申立書を同年7月14日に厚生省に提出した。更に同氏は、二人の写真を同封し、2004年10月23日付の申立書を同年12月15日に内閣府、外務省と厚生労働省に提出した。
 大慶市在住の朱玉芬氏は、父、朱雲 氏と叔父、朱雲岫氏との確認調査を求め、東安憲兵隊資料を添付し、2005年3月14日付の申立書を同日、厚生労働省に提出した。しかしながら、以上の申立書に対して日本政府は、今日に至るまでいずれも無回答のままと承知している。
 ついては、次の事項について質問する。

    • 一、
    • 日本国政府は、戦時中の中国において日本の憲兵隊に逮捕され、特移扱として満州第731部隊に送致された人々の肉親による申立てに対し、誠意を持って真摯に受け止めるべきと考えるが、政府の所見を示されたい。
    • 二、
    • 現在、厚生労働省が設けた保管施設に保管されている人骨についての身元確認調査等を求める申立書に対する回答は、どの省庁が所管するのか明らかにされたい。

 右質問する。

旧陸軍軍医学校跡地で発見された人骨に関する質問

提出者 衆議院議員 金田誠一 2005年6月10日

答弁者 内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 細田博之 2005年6月21日

  • 《質問》
    • 一、
    • 日本国政府は、戦時中の中国において日本の憲兵隊に逮捕され、特移扱として満州第七三一部隊に送致された人々の肉親による申立てに対し、誠意を持って真摯に受け止めるべきと考えるが、政府の所見を示されたい。
    • 二、
    • 現在、厚生労働省が設けた保管施設に保管されている人骨についての身元確認調査等を求める申立書に対する回答は、どの省庁が所管するのか明らかにされたい。
  • 《答弁》
    • 一について
    • 政府としては、遺族からの申立てを真摯に受け止め、平成十三年に「人骨の由来調査」を実施し、その結果を公表したところである。また、当該申立てに対しては、当該申立てに係る文書の持参者と面会し、当該文書を受け取るとともに、当該持参者の要望に応じて、後日、当該持参者との面会の場を設けて口頭で申立てに対する回答を行うなど、政府として誠意を持って対応してきたところである。
    • 二について
    • お尋ねの人骨は、現在、厚生労働省が管理している土地から発見されたものであり、厚生労働省が保管しているところである。したがって、お尋ねの申立書に対する回答については、人骨を保管する立場から厚生労働省が対応するものである。

inserted by FC2 system