軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

The association demanding investigationon human bones discovered from the site of the Army Medical College

2003年3月10日

内閣総理大臣
 小泉純一郎 様
厚生労働大臣
  坂口 力 様

軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会

代表 常石 敬一

請願書

政府ならびに厚生労働省におかれましては、1989年7月22日に旧陸軍軍医学校跡地(当時の国立予防衛生研究所建設現場・現国立感染症研究所)で発見された人骨(以下、「89年人骨」という)に対し、その由来調査と報告、保管にご努力されてこられたことに敬意を表します。

さて、「89年人骨」が保管施設に納骨されて一年を迎えようとしております。私たち「軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会」(以下、「究明する会」という)としましては、第1に保管されている「89年人骨」の身元確認調査と第2に隣接する旧防疫研究室跡地の「新たな人骨」問題の調査が必要と考えております。

つきましては、政府ならびに厚生労働省に陸軍軍医学校が関与した戦時中の未解決問題の解決に向けて以下の通り要望するものです。

 要望事項

戦時中の未解決問題は、日本政府である内閣が責任を持つべき課題であると考えます。陸軍軍医学校が関与した一連の「人骨」問題については、陸軍軍医学校の施設を引き継いだ現在の厚生労働省が第一義的に調査に当たるべき課題であります。しかし、満州第731部隊による中国の被害者遺族からの調査依頼があり、なおかつ調査のためには科学的鑑定や文献資料の調査が必要であるため、多くの関係する省庁の協力が必要です。従って、内閣官房に担当部署を設け、厚生労働省を中心に他省庁も参加する「人骨」問題関係各省庁連絡会議(仮称)を設置して解決に当たることを要望いたします。以下、具体的な提案と要望、質問事項を列挙いたします。

1、戦時中の未解決問題である「89年人骨」問題を解決するため、内閣官房に担当部署を設置すること

<その理由>
 「89年人骨」は「土地の管理者である厚生労働省」が引き取り、「新たな調査の手がかりが得られることもあり得ることから、現状のまま保管」されている。厚生労働省はあくまで「土地の管理者」としての対応しかしておらず、戦時中の未解決問題として「89年人骨」問題をとらえていないことは明らかである。よって、厚生労働省は内閣官房に担当部署を設置するよう協議を進めることが必要である。そして、政府の包括的な戦後処理を担当する内閣官房が厚生労働省と連携しながら、「89年人骨」問題の解決に向けた担当部署を設置すべきであると考える。

2、内閣官房と厚生労働省は、「人骨」問題関係各省庁連絡会議(仮称)を設置して「89年人骨」の身元確認調査を行うこと

<その理由>
 厚生労働省の調査は、新宿区が行った鑑定と陸軍軍医学校関係者へのアンケートと聞き取り、文献調査に限られている。その限られた調査においても厚生労働省は、「89年人骨」が戦争に関係しており、敗戦に際して「国が処分した人体標本に由来すると推測される」と結論付けている。このことを踏まえれば、政府が戦時中の未解決問題として新たな視点から再調査を行う必要があることは明白である。保管している人骨の法医学的鑑定やDNA鑑定などの科学的な再鑑定を行うとともに、厚生労働省以外の陸軍軍医学校の資料を保管している防衛庁などの協力を得て、身元確認調査を行うことがなければならないと考える。

3、内閣官房と厚生労働省は、「人骨」問題関係各省庁連絡会議(仮称)の下で、旧防疫研究室跡地の「新たな人骨」調査を行うこと

<その理由>
 厚生労働省は「89年人骨」の「今後の対応」において、「新たな人骨」問題調査はしないと表明した。「遺骨が埋まっている可能性のある場所も特定されていない」というのがその理由である。しかし、その理由はまことに薄弱である。まるで、調査をして発見されでもしたら困るかのようである。「究明する会」は陸軍軍医学校の元看護婦の方から、確かな証言を得、旧防疫研究室の西側、現在の国立国際医療センターの宿舎及びテニスコートと特定している。「89年人骨」問題の解明のためにも、旧防疫研究室跡地の「新たな人骨」調査は欠かせないと考える。

 質問事項

 内閣官房に対する質問事項
1.戦時中の未解決問題を所管する担当部署設置についての検討状況。
2.「89年人骨」の厚生労働省調査報告についてどのように認識しているか。
3.陸軍軍医学校が関与した「人骨」問題の解決のために総合調整を図る考えはないか。

 厚生労働省に対する質問事項
1.この一年間の「89年人骨」保管状況と来所者数及び献花者数。
2.「89年人骨」の「新たな調査の手がかり」に対する検討状況。
3.旧防疫研究室跡地の「新たな人骨」調査の再検討について
4.内閣官房に「人骨」問題解決の窓口を設置することについて

以上

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