1.厚生労働省、記者会見用の報告と今後の方針

平成13年6月14日

照会先:厚生労働省大臣官房厚生科学課
課長補佐 原 口   真 
電話  03-5253-1111(3804)
    
03-3595-2171(夜間直通)
 



 


戸山研究庁舎建設時に発見された人骨の由来調査について


1 報告書の趣旨

 平成元年7月に、新宿区戸山にある戸山研究庁舎の建設工事中に、土中から少なくとも62体の人骨が発見された。この人骨については、ドリルによるせん孔等の人為的な痕跡が認められるものの、警視庁において犯罪に起因するものではないと判断され、現在、新宿区が保管している。

 本報告書は、この人骨の由来について、厚生労働省が、発見場所の土地管理者として実施した調査の結果を取りまとめたものである。

2 実施した調査の結果

 

関係文献の調査とともに、平成4年から現在に至るまで、厚生労働省において所在等が把握できた陸軍軍医学校関係者等、合計368人(重複を除く。)に対して、面接等による聞き取り調査、質問票によるアンケート調査を実施した。

3 調査結果の要約

(1) 平成元年に戸山研究庁舎建設現場で発見された人骨について、埋められる前の状況及び埋められた理由は、1応、以下のとおり推測されるものの、これらについての確証、資料は得られなかった。
@ 昭和20年8月以前の旧陸軍軍医学校にあった標本類又は標本作成用あるいは医学教育用に集められた死体の1部であること
A その大部分は空襲により焼失した可能性が高いが、焼失しなかったもの等が終戦に伴う旧陸軍軍医学校の活動終了に際して処分等のため埋められたものであること
(2) そして、旧陸軍軍医学校では、明治以降長期にわたり作成されていた病理学の標本類を保有していたものであり、その中には戦場から集められた戦死者等から作成されていたものが含ま
れていた可能性がある。しかし、発見された人骨については、学識経験者による鑑定結果において人類学的には「少なくとも1般日本人集団からの無作為標本ではない可能性が大きい」とされるものの、生前の国籍の特定はできなかった。
(3) また、これらの人骨の個々の由来については、死体又は標本が満州の第731部隊など海外から送られたことを示唆する回答やそれを否定する回答もあり、第731部隊との関連を含め、明らかにすることはできなかった。

4 今後の対応

(1) 発掘された人骨については、国が処分した人体標本に由来すると推測されることを踏まえ  れば、国が埋葬及びそれまでの間の保管に当たるべきであると考えられる。そこで、
@ 長期にわたり人骨の由来を調査してきた経緯を踏まえて、当面は、土地の管理者である厚生労働省で引き取る。
A 引き取った人骨については、これ以上の調査の実施は困難といわざるを得ないが、新たな調査の手がかりが得られることもあり得ることから、現状のまま保管する。
B 保管については、人骨が人体の1部であり尊厳をもって取り扱う必要があることを踏まえ、保管施設を設け弔意を示しながら、実施する。
(2) 調査では、近隣にも標本が埋められたと聞いたとの回答が得られたが、伝聞による1名からの回答にとどまり、遺骨が埋まっている可能性のある場所も特定されていない。このため、厚生労働省が管理する土地を含め、現に得られている情報からは、発掘調査の必要はないと考えられる。


 
厚生労働省の対応
 厚生労働省の調査報告 陸軍軍医学校建物位置図

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