新宿への勧告
日弁連総第38号 1994年12月20目 新 宿 区 区 長 小野田 隆 殿 日本弁護士連合会 会長 土屋公献 勧 告 書 当連合会は、この度、731部隊による生体実験に関する人権侵害救済事件を調査した結果、731部隊による生体実験の披験者については、未だ追善、謝罪はもとより、氏名公表、遺品・遺骨の返還もなされておらず、別紙調査報告書記載のとおり重大な人権侵害の状態におかれていると判断しました。 そしてこの人権侵害状態を解消するためには、731部隊の行っていた生体実験の詳細、被験者の確保方法およびその氏名等の調査が必要と思料し、日本国政府に対し、その実行方を勧告しました。 よって新宿区が、日本国政府の上記調査の結果が判明するまで、新宿区戸山国立予防衛生研究所(旧陸軍軍医学校・防疫研究室)敷地内で発見された人骨を保管し、これの焼却等の処分をしないよう勧告します。 日本弁護士連合会 |
日弁連総第38号 1994年12月20目 内閣総理大臣 村 山 富 市 殿 日本弁護士連合会 会長 土屋公献 勧 告 書 当連合会は、この度、731部隊による生体実験に関する人権侵害救済事件を調査した結果、731部隊による生体実験の披験者については、未だ追善、謝罪はもとより、氏名公表、遺品・遺骨の返還もなされておらず、別紙調査報告書記載のとおり重大な人権侵害の状態におかれていると判断しました。 よってこの人権侵害状態の解消と、日本国が人権を尊重する国家として発展することを希求して、次のとおり勧告します。 勧告事項 1、日本政府は、新宿区戸山国立予防研究所(旧陸軍軍医学校、防疫研究室跡地)敷地内にて発見された人骨(以下本件人骨という。)につき、これがいわゆる731部隊による生体実験の被験者のものであるか否かを究明するため、特別調査委員会を設置し、以下の各点につき調査を行うべきである。 @731部隊と防疫研究室の組織の詳細および両者間の連絡・交流状況。 なお上記の特別調査委員会の委員は・少なくともその4分の1は当該問題を研究してきた学者・知識人、4分の1は法律家、4分の1は医学者をもって構成されるべきである。 また調査の方法としては、@731部隊および防疫研究室に属した全生存軍人・軍属に対するヒアリング、A現在、日本国政府が保有する関連資料の完全公開を必須のものとするべきである。 2、そして本件人骨の一部が731部隊による生体実験の披験者となった張文善および朱之盈のものである可能牲が認められた場合、右を申立人ら遺族に返還すべきである。 勧告の理由は、調査報告書のとおりです。 日本弁護士連合会 |